リコーがPENTAX商標を完全取得|2019年の”契約切れ”騒動から7年、何が変わったのか

リコーがPENTAX商標を完全取得|2019年の”契約切れ”騒動から7年、何が変わったのかの投稿のアイキャッチ画像

リコーイメージングが、これまでHOYAからライセンスを受けて使用してきた「PENTAX」の商標を、写真分野において完全に取得したことが分かりました。
海外メディアのDigital Camera Worldが、WIPO(世界知的所有権機関)とUSPTO(米国特許商標庁)の商標データベースを独自に検索し、写真分野におけるPENTAX商標の登録者がリコーに変わっていることを確認・報道しています。
単独の噂サイト発の情報ではなく、Pentax Rumors、PentaxForums、Digital Camera Worldという複数の独立したメディアが同じ結論に達しているため、精度の高いニュースと判断してよさそうです。
ドイツ特許商標庁(DPMA)は2025年9月23日に、1950年代の原登録と1990年の追加登録、それぞれについて移転通知を受け取っています。
この記事では、単に事実を訳して伝えるのではなく、2019年に一度流れた”契約切れ”騒動から、今回の完全取得までの経緯を時系列で追いながら、PENTAXブランドの今後をどう見ればいいかを考えていきます。

目次

結論:何が変わって、何は変わっていないのか

先に結論です。

  • 商標そのものをリコーが取得したことで、長年のライセンス契約という不安定な立場は解消されました
  • ただし、これが即座に新製品の増加を意味するわけではなさそうです
  • 実際にPENTAXブランドを長く使ってきたユーザーの反応も、手放しの歓迎一色ではありません

背景:リコーは”借り物のブランド名”でPENTAXを売ってきた

2011年、リコーはHOYAからペンタックスのカメラ・レンズ事業を買収しました。
しかし、このとき「PENTAX」という商標そのものはHOYAに残り、リコーはブランドライセンス契約に基づいてこの名前を使い続けていました。
つまり、事業とブランド名の持ち主が別々という、やや不安定な構造がここから始まっています。

2019年:「2020年に契約が切れるのでは」という不安

2019年5月、PENTAX FORUMSの投稿をきっかけに、「PENTAXブランドの使用権は2020年に失効する。
リコーがPENTAXを積極的に開発していないのはこれが理由ではないか」という噂が広まりました。
これに対しリコーイメージングは、PentaxForums経由で正式に否定するコメントを発表し、「2020年以降もPENTAX製品を提供し続ける」との立場を明確にしています。

ただし、この否定はあくまで「使用は続ける」という言明であって、「商標そのものを取得する」という話ではありませんでした。
ライセンス契約という立場自体は、その後も変わらず続いていたことになります。

2025年〜2026年:商標そのものの移転が確認される

今回確認されたのは、2019年の”noと言い切った”状態からさらに一歩進み、商標の所有権そのものがHOYAからリコーイメージングへ移転したという事実です。
ドイツの特許商標庁への移転通知が2025年9月に行われていたことから、実際の手続きはこの時期に進んでいたとみられます。
7年越しで、構造的な不安定さにある種の決着がついた形です。

ここまでの経緯を1枚に整理すると、次のようになります。

商標の所有権そのものがHOYAからリコーイメージングへ移転した経緯をまとめた図

それでも、新製品ラッシュを期待するのは早計かもしれない

国内情報サイトのコメント欄を見ると、今回のニュースへの反応は一様ではありません。
「新製品への期待はほとんどしていない」「フェードアウトするにしても、既存モデルのマイナーチェンジ版のような”Final Edition”を出してほしい」という、期待よりも諦めに近い声も見られました。
PENTAX KFボディが既に完了商品となり、APS-C一眼レフの新機種が長く出ていない状況を踏まえると、商標の整理と製品ラインナップの充実は、必ずしも直結する話ではないという見方です。

一方で、別の記事では、リコー社内の担当者が「フィルムカメラプロジェクトも継続中」「フィルム版のリコーGRについて、現時点では検討していないが否定もしない」とコメントしたことも報じられています。
ブランドとしての火が完全に消えたわけではなく、少なくとも権利関係の整理によって、将来何かを仕掛けるための足場は整った、という捉え方が実情に近いように思います。

まとめ

今回の商標完全取得は、2019年から続いていた「PENTAXという名前を、リコーは本当に使い続けられるのか」という構造的な不安に、ひとつの区切りをつける出来事です。
ただし、これがそのまま新製品ラッシュにつながるかどうかは、現時点では未知数です。
長年のファンの反応も、期待と諦めが入り混じったものでした。PENTAXブランドの今後は、この権利関係の整理を土台に、リコーが実際に何を仕掛けてくるか次第だと言えそうです。

目次