朝、涼しい車内から出た瞬間、レンズが真っ白に曇ってシャッターを切れなかった経験はないでしょうか。
私自身、早朝に花を撮りに行こうとエアコンの効いた車で現地まで移動し、いざ降りてマクロレンズを構えたら、レンズ前面が真っ白に曇っていて、数分間まったく撮影できなかったことがあります。
以前紹介したマクロレンズの記事で触れた「朝露」を撮りに行った、まさにそのときの出来事です。
この記事では、レンズが曇る・結露する原因と、初心者から中級者の方でもすぐに実践できる対策を、実体験を交えてまとめていきます。
結論:対策は「温度差を急に作らない」の一言に尽きる
先に結論です。
レンズの曇り・結露対策は、カメラやレンズの温度を、周囲の温度にゆっくり慣らしてから使う、これに尽きます。
- 移動前に、カメラバッグの中に入れたまま温度差のある場所へ持ち込む
- 到着後、バッグのファスナーを開けたまま5〜10分ほど置いて温度に慣らす
- どうしても急ぎたい場合は、レンズにタオルやカメララップを巻いて温度変化を緩やかにする
- 表面が曇ったときは、乾いた布で優しく拭き取り、内部結露が疑われる場合は電源を切って乾燥させる
そもそも、なぜレンズは曇るのか
結露は、空気中の水蒸気が、冷えたものに触れて水滴に変わる現象です。
冷たい飲み物を入れたグラスの表面に水滴がつくのと、原理は全く同じです。
カメラやレンズも、周囲の温度・湿度と機材本体の温度に差があるほど、この現象が起きやすくなります。
厄介なのは、レンズの表面だけでなく、内部にまで曇りが生じることがある点です。
表面の曇りは数分〜数十分で自然に消えることが多いのですが、内部結露は乾きにくく、放置するとカビや腐食、電子部品の不具合につながる可能性があります。

どんなシチュエーションで結露するのか
冬:寒い屋外から、暖かい室内へ移動したとき
一番分かりやすいのがこのパターンです。
冬の寒い屋外で冷え切ったカメラを、暖房の効いた室内へ持ち込むと、レンズが一気に曇り出します。
特に加湿器を使っている部屋や、混雑した電車・バスの車内のように湿度が高い環境ほど、曇りやすくなります。
夏:冷房の効いた車内から、高温多湿な屋外へ出たとき
見落とされがちですが、これも典型的な結露パターンです。
エアコンをガンガンにかけた車で移動し、そのまま蒸し暑い屋外へカメラを持ち出すと、冬とは逆方向の温度差によって結露が起こります。
屋外に出た瞬間に眼鏡が曇るような日は、レンズも同じように曇りやすいと考えて間違いありません。
私が経験した「早朝の車移動からの花撮影」も、まさにこのパターンでした。

今すぐできる対策
移動前:カメラバッグに入れたまま持ち運ぶ
温度差のある場所へ移動する前に、カメラやレンズをカメラバッグにしまっておきます。
バッグ自体が緩衝材となり、内部の温度変化を穏やかにしてくれます。
むき出しのままカメラを抱えて温度差のある場所を行き来するのは、一番曇りやすい持ち方です。
到着後:すぐに使わず、数分待つ
目的地に着いたら、すぐにバッグを開けてカメラを取り出すのではなく、ファスナーを開けた状態で5〜10分ほど置き、周囲の温度に慣らしてから使い始めるのが理想です。
私も、花を撮りに行くときは移動中からあらかじめバッグのファスナーを少し開けておき、車を降りる前の数分で外気に慣らすようにしてから、ようやくレンズを出すようにしています。
急いでいるとき:タオルやカメララップで温度変化を和らげる
どうしても待つ時間が取れない場合は、レンズやボディにタオルを巻いておくと、急激な温度変化を多少防げます。専用のカメララップ(保温性のある布)を常備しておくのもおすすめです。
曇ってしまったとき:表面はやさしく拭き取り、内部結露は乾燥を待つ
表面についた水滴は、乾いた柔らかい布で優しく拭き取れば問題ありません。
ただし、内部まで曇っているように見える場合は、無理に電源を入れず、電源を切った状態で風通しの良い場所に置き、自然に乾燥するのを待ってください。
濡れたまま撮影を続けると、内部の電子部品や手ブレ補正機構に影響が出る可能性があります。
それでも心配な人へ:保管環境自体を見直すという選択肢
今回は「移動時の結露」を中心に扱いましたが、結露を繰り返すと、レンズ内部にカビが発生しやすくなります。
普段の保管環境が高湿度だと、結露のリスクだけでなくカビのリスクも高まるため、防湿ケースや防湿庫での保管を検討する人も多いです。
この点については、機材を長く使うための保管グッズという切り口で、別の記事で詳しく紹介する予定です。
まとめ
レンズが曇る・結露する原因は、周囲の温度・湿度と機材の温度差です。
冬の「屋外→室内」だけでなく、夏の「冷房の効いた車内→高温多湿な屋外」でも同じ現象が起きます。
対策はシンプルで、カメラバッグに入れたまま持ち運び、使う前に温度を慣らす時間を作ることです。
せっかくのシャッターチャンスを逃さないためにも、移動のスケジュールに数分の余裕を持たせておくことをおすすめします。

