ニコンは2025年9月26日、標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II」を発売しました。
予約受付は8月28日に開始されています。このレンズ、この画角・開放F値のフルサイズミラーレス用レンズとしては世界初となるインターナルズーム機構を採用しているのが最大の特徴です(2025年8月22日時点で発表済みの同クラスレンズにおいて、ニコン調べ)。
ズーム操作をしてもレンズの全長が変わらないため、ジンバル撮影(ジンバル:水平を保ちながらブレを抑えるためのスタビライザー装置)でも重心バランスが崩れにくく、映像制作者からの支持を集めています。
この記事では、公式発表の内容を整理しつつ、旧型からの変化と、この設計思想がどう業界全体に広がりつつあるのかを見ていきます。

結論:何がすごいのか
先に結論です。「明るさ・軽さ・全長固定」という、これまで両立が難しかった要素を一本化した標準ズームというのが、このレンズの位置づけです。
- ジンバル(水平を保ちながらブレを抑えるためのスタビライザー装置)での動画撮影が多い人には、全長が変わらない安心感は大きなメリットです
- 動体を追う機会が多い人には、AF速度の向上がそのまま作品の向上につながります
- 旧型「24-70mm f/2.8 S」を使っている人にとっては、買い替えの判断材料が価格差と天秤にかかってきます
世界初のインターナルズーム機構とは
一般的なズームレンズは、望遠側にズームすると鏡筒が伸びる「繰り出し式」が主流です。今回のレンズはこの構造をやめ、内部でレンズ群を移動させることでズームする「インターナルズーム」を採用しています。
外から見た全長は、広角側でも望遠側でも変わりません。
この方式のメリットは、ジンバル(水平を保ちながらブレを抑えるためのスタビライザー装置)に載せて撮影する際の重心バランスが崩れにくいことです。
繰り出し式のレンズだと、ズームするたびに重心が前後に動いてしまい、ジンバルの追従が不安定になることがありますが、全長固定ならその心配がありません。
防塵防滴性能も向上しているようです。
旧型との比較
| 項目 | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S(2019年4月発売) | NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S II(2025年9月発売) |
|---|---|---|
| ズーム機構 | 繰り出し式 | インターナルズーム(クラス初) |
| 質量 | 約805g | 約675g(クラス最軽量) |
| 全長 | 約126mm | 約142mm |
| AF駆動 | マルチフォーカス方式 | シルキースウィフトVCM(SSVCM、ズームレンズ初搭載) |
| AF速度 | ― | 旧型比で約5倍(EXPEED 7搭載ボディ使用時) |
質量は130g軽くなった一方、全長は固定式にした分16mmほど長くなっています。
「繰り出さない代わりに、常にこの長さ」というのが、インターナルズームのトレードオフです。
旧型は生産完了となっており、中古市場では価格が大きく下落しているとの報告も出ています。
買い替えのために旧型を手放すユーザーが増えているようです。
標準ズームの設計思想は、メーカーを超えて変わりつつある
この「全長を固定して動画撮影の安定性を高める」という発想は、ニコンだけの動きではありません。
以前紹介したキヤノンのRF20-50mm F4 L IS USM PZも、全長固定設計とパワーズーム機構を採用し、ジンバル(水平を保ちながらブレを抑えるためのスタビライザー装置)との相性を重視したレンズでした。
開放F値もクラスも違うレンズですが、「動画クリエイターの使い方に合わせてズームレンズの設計自体を見直す」という方向性は共通しています。
スチルカメラ用の標準ズームが、静止画のためだけでなく、動画撮影の現場を強く意識して設計されるようになってきているのは、業界全体の一つの流れとして見ておくとよさそうです。
まとめ
NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S IIは、世界初のインターナルズーム機構とクラス最軽量の軽さを両立させた標準ズームです。
旧型からのAF速度向上も大きく、動画・静止画どちらの現場でも歓迎されそうな進化と言えます。
旧型は既に生産完了となっているため、これから標準ズームを検討する人は、実質的にこのII型が選択肢になります。
キヤノンの同種の設計思想を持つレンズについては、RF20-50mm F4 L IS USM PZのレビューもあわせてご覧ください。

