写ルンです40周年×GR30周年、同じ年に重なった意味|富士フイルムとリコーの「フィルム人気」への向き合い方

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2026年、フィルムにルーツを持つ2つの節目が、示し合わせたように同じ年に重なりました。
7月1日、富士フイルムは「写ルンです」発売40周年を発表すると同時に、20年ぶりとなる新製品2機種を投入しました。
一方リコーは、GRシリーズの起源であるフィルムコンパクト「RICOH GR1」の発売から、この10月で30周年を迎えます。
偶然の一致と言えばそれまでですが、両社の動き方を並べてみると、今のフィルム人気に対する向き合い方の違いが見えてきます。
この記事では、それぞれの発表内容を整理しながら、2社の戦略の違いを比較していきます。

目次

結論:同じ「フィルム人気」でも、向いている方向が違う

先に結論です。富士フイルムは「フィルムという体験そのもの」を売る方向に、リコーは「フィルムから始まったブランドの信頼」を売る方向に力点を置いている、というのが両社の発表を見た印象です。

  • 手軽にフィルムらしさを試したい人 → 写ルンですの新モデルが分かりやすい入口
  • スナップシューターとしての描写・道具としての完成度を求める人 → GRシリーズが本命
  • ブランドの歴史や節目そのものに関心がある人 → 両社の発表を並べて見ると面白い

富士フイルム:20年ぶりの新製品は「写ルンです」だった

写るんですActiveの画像
写るんですActive
写ルンです Black and Whiteの画像
写ルンです Black and White

富士フイルムは2026年7月1日、レンズ付フィルム「写ルンです」の発売40周年にあわせ、新製品2機種を発表しました。
防水モデルの「写ルンです Active」(2026年8月上旬発売、想定価格4,480円前後)と、黒白フィルムモデルの「写ルンです Black and White」(2026年9月以降発売、想定価格4,300円前後)です。
パッケージ変更などを除く新製品追加は、実に2006年以来20年ぶりとのことです。

Activeは水深10mまでの水中撮影に対応し、主なターゲットは20代後半の女性に設定されています。
Black and Whiteは特別な設定なしで黒白写真を撮れるモデルで、10代後半から20代後半の男性を主な想定ユーザーとしています。
同時に専用のハンドストラップも発売され、40周年記念ロゴも制定されました。

ここで注意しておきたいのは、「写ルンです」はレンズ付フィルムであり、フィルムを巻き戻して繰り返し使うタイプの本格的なフィルムカメラとは仕組みが異なるという点です。
富士フイルムが交換レンズ式や巻き戻し式の新型フィルムカメラを発売したわけではありません。
実際、富士フイルムフランスの写真事業部門は2024年のインタビューで、新たなフィルムカメラのリリースは計画にないと発言していました。
今回の動きは、あくまで既存の「写ルンです」というブランド資産を、若い世代の需要に合わせて磨き直したものと見るのが正確です。

発表会では、デジタルカメラやスマートフォンの普及を経て、現代のZ世代に「特別な不自由さ」として写ルンですが再評価されているという現状が語られました。
2021年頃から販売が回復に転じ、2024年のリブランディングを経て2025年に急成長したという経緯も紹介されています。
世界累計販売本数は17億本以上にのぼるとのことです。

リコー:GRシリーズが迎える30周年という節目

GR IVの画像
GR IV

一方リコーイメージングは、ハイエンドコンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズの起源であるフィルムコンパクトカメラ「RICOH GR1」の発売から、2026年10月21日で30周年を迎えます。
これを記念して、「Forever a Snapshooter」というメッセージと、アニバーサリーロゴが制定されました。
本年秋頃には、30周年を記念した特別アイテムの発売やファンイベントの開催が国内外で予定されているとのことです。

GRシリーズは現行モデルの人気も高く、最新モデル「GR IV」やその派生モデル「GR IV HDF」「GR IV Monochrome」は、いずれも抽選販売という形が取られています。
2026年7月1日からは、原材料調達価格の値上がりや製造・物流コストの上昇を理由に、GRシリーズの出荷価格が平均6〜11%引き上げられました。
値上げをしてもなお需要が供給に追いつかない状態が続いている、というのが今のGRシリーズの実情だと言えそうです。

もう一つ見逃せないのが、GRブランドがカメラ本体の外側にも広がっていることです。
原宿・表参道の「GR SPACE TOKYO」というコミュニケーションスペースでは、写真展やGRレッスンといったイベントが継続的に開催されています。
公式ストアにはアパレル商品やフォトグラファーグローブといったオリジナルグッズのラインナップもあり、カメラという製品単体を超えて、ライフスタイルブランドとしての広がりを持たせようとしている様子がうかがえます。

2社を並べて見えてくること

富士フイルムの動きは、「写ルンです」というすでに広く知られたブランドを軸に、防水・モノクロという新しい切り口を足すことで、フィルムに不慣れな若い世代の入口を広げる方向に見えます。
価格も4,000円台に抑えられており、「試しやすさ」に重心があります。

対してリコーは、GR1という1996年のフィルムカメラから続く30年の歴史そのものを前面に押し出し、現行のデジタルGRシリーズの価値を底上げする方向です。
値上げをしても抽選販売が続くという状況は、道具としての完成度に対する信頼が積み上がっている証拠とも言えます。アパレルやコミュニティスペースへの展開も、カメラ単体の販売ではなく、ブランドとの継続的な関係を作ろうとする動きに見えます。

同じ「フィルムにルーツを持つブランド」でありながら、片方は間口を広げる方向、もう片方は積み上げてきた信頼を深める方向というのは、対照的で興味深い動きだと感じます。

まとめ

2026年は、写ルンですとGRという、フィルムに起源を持つ2つのブランドが節目を迎えた年になりました。
フィルム人気そのものが一過性のブームなのか、長期的な流れなのかはまだ分かりませんが、少なくとも両社は「今のうちに動く」という判断をしたように見えます。

フィルムカメラそのものについてもっと知りたい方は、以前まとめたフィルムカメラ入門ガイドもあわせて読んでみてください。
今回取り上げた「写ルンです」や、GRの前身にあたるフィルムコンパクトの位置づけも含めて理解しやすくなると思います。

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